「クライメートゲート事件」——IPCCによる地球温暖化説の捏造事件

クライメートゲート事件」——IPCCによる地球温暖化説の捏造事件

 

 「クライメートゲート事件」、この呼び名は、イギリスのジャーナリストであり作家であるJ.デリングポールが、アメリカ・元ニクソン大統領の陰謀暴露事件に倣って使ったものである。

 この「クライメートゲート事件」は、当時、「地球温暖化の捏造疑惑」として世界中に広まり、「IPCCは科学の正道を踏み外した」(サッチャー政権の首席科学顧問だったキング卿)との発言あったり、イギリス物理学会が意見書を出したりした。さらに、IPCCよりであったジャーナリストが〝温暖化の断筆〟(カナダのM.ムーア)をするなど、マスコミ界にも多大な問題をつきつけた。「気候変動の主因は自然現象」と従来の見解が再確認され、「二酸化炭素地球温暖化」説は「詐欺の類」というレッテルが貼られたのである。

 今改めて、この「クライメートゲート事件」についてブログに掲載するのは、「GX脱炭素電源法」が岸田政権によって成立され、さらに、脱原発の運動に「二酸化炭素地球温暖化」説に無批判的な諸潮流が浸透してきたたからである。「人間が排出した二酸化炭素が地球を温暖化させている」、という根も葉もない非科学的主張が社会を覆っている、という21世紀の天動説がまん延しているからである。

 

☆発端

 2009年11月17日、イギリス・イーストアングリア大学気候研究所ユニット(CRU)のサーバーから交信メール1073件と3800点ほどの文書が、「気候科学の実態と、背後にいる人物の素顔を見抜く一助になろう」というコメント付きでブログサイトに流出した。

 交信欄はイギリス2か所アメリカ11か所のほかドイツ、フィンランド、ノルウエー、ニュージーランド。特に重要なのは、CRU、NASAゴダード研究所(GISS)などである。このCRU、GISSがアメリカ海洋大気圏局、イギリス気象庁が収集したデーターを解析し公表する、というところであった。世界中から集められた気象データーをCRU、GISSで改竄し、地球温暖化を捏造していた――その実態が明らかになったのだ。

 その2年後の2011年11月22日に、さらに5倍近くの大量のメール記録が流出し、さらに2013年3月13日には22万通のメールが放出された。

 そこに登場するのは、CRU所長のジョーンズ、GISSのハンセン、シュミット、アメリカ大気圏研究センター(NCAR)トレンバースら大物である。

 3回にわたってIPCCの主要な人物たちが交わした大量のメール、文書が世界に公表された。世界のマスコミは、二酸化炭素地球温暖化を報道してきたことを謝罪し、今後は報道することを取りやめた。さらには、特番を設け、「クライメートゲート事件」の報道を行った。

 

☆その最大の問題——「地球温暖化説」の捏造と科学への背信

 

地球温暖化説」の捏造

1 IPCCが「二酸化炭素地球温暖化説」に合わせて気温データーを改竄した。改竄したデーターをもとに、「ホッケースティック」を横にしたような気温変化の図を、マイケル・マン(ペンシルべニア大名誉教授)らがIPCCの第三次報告書に「人為的温暖化の決定的証拠」として載せた。

 

 1000年ごろから1400年ごろまで「中世温暖期」と呼称された暖かい時期があり、氷におおわれていない緑であった「グリーンランド」が発見され、バイキングが入植し農耕を始めたのも、この時期である。また、イギリスでワインが製造されるほど暖かった。日本では、平清盛が「マラリヤ」で死んだ、とも言われる温暖な気候の時期があった。さらに、1500年以降1850年ごろまで「小氷期」という寒冷な時期があった。ロンドン市街を流れるテムズ川が厚さ30センチの氷で覆われ人々が往来していた。日本においても寛永飢饉、元禄飢饉が連続して起こり、イギリスばかりでなく日本でも飢えと寒さに震えていた時期だ。

 マンや、ジョーンズらは、「気温低下を消すきわめて人為的な補正」をした。「今の気温が史上最高だという美しい話にしたい、それなら政治家にもわかる」などと恥ずかしげもなくメールで「人為的な補正」を堂々と交信していたのだ。また、いろいろな「補正」を試みたかのような「補正係数」まで流出している。

 彼らの目的は簡単である。二酸化炭素による気温変化とは全く関係ない「中世温暖期」、「小氷期」という時期をなくし、1900年ごろから一気に気温が上昇した、という過去1000年余りの気温変動グラフをデッチ挙げて二酸化炭素地球温暖化を捏造したのだ。当然ながら、カナダ統計学者スティーブ・マッキンタイヤらがどうしたらこのようなグラフが出来上がるのか、その元データー、解析方法を明らかにするよう要求したが、断られ続けた。

 他方においてCRUのジョーンズは、マッキンタイヤらからデーターを要求されている中で、「イギリスに情報公開法があるのを連中が嗅ぎつけたらファイルは消去する」とホッケースティック作成者であるマンにメールしている。さらに「…結局のところ、レールはIPCCが引いたものだったのだ。IPCCの仕事が始まってから、私は何一つ独創的なこと、本質的なことをしてこなかったように思う。もうマントを脱いで、誰かに渡したい」、とホッケースティック捏造謀議に加担をした科学者ブリファ(CRU副所長)の苦悩も明らかにされた。

  ホッケースティックを捏造する彼らは、懐疑派の査読付き論文(当時500篇)をIPCCに採用しない、と明言してその報告書を捨て去った。そうすることで、IPCC報告の2500人の執筆者、査読人を裏切ったのである。明らかに、二酸化炭素と関係ない過去の気温変動を消し去るためにデーターを改竄し、改竄したデーターをもとにして過去の気温変化をデッチ挙げたのである。そのために、「二酸化炭素地球温暖化説」に懐疑的な科学者や反対する科学者をIPCCから追放したのである。

 

 その他、アマゾンン熱帯雨林、アフリカ農業生産、オランダ国土面積、ハリケーン、サイクローンなど科学的な根拠などない危機煽りの主張も事実を持ってでたらめであることがばれてしまった。これについては、省略する。

 

2 科学への背信

 1998年以来地球は、温暖化の停滞もしくは気温低下傾向が20年近く続いていた。このことは「温暖化のハイエスタス」といわれている。

 このような「温暖化のハイエスタス」に直面して、アメリカ大気圏研究センター(NCAR)のトレンバースは「(1998年以降)温暖化が起こらなくなった原因は今のところ説明できない。われわれプロにして、こんなことができないとはお笑いだな」、というメールが、また、CRUのジョーンズは「もし自分が1998年以降、気温低下がおこっていたといってしまったら、世間から袋叩きに遭うに違いない。その現象は実際に起こってているんだが、まだ7年だけだから、統計学的には意味がないと言っておけばいいだろう」というメールのやり取りが暴露されてもいる。

 トレンバースやジョーンズ、マンたちは、このままだと「地球は火星のようになる」と煽情的に煽っていた。その言説を信じ込んだグレタのような人々は、「地球は燃えている」などと、危機感をあらわにして二酸化炭素の排出削減を訴えていたのである。そのさなかに、彼らは内々で「お笑いだな」とか「世間から袋叩きに遭う」などと言っていたのである。

 なんということか!!

 二酸化炭素量は幾何級数的に上昇しているにもかかわらず、実際はこの「ハイエイタス」が20年も続いていたのだ。このことを考えると、もはや「二酸化炭素地球温暖化説」は科学的真実ではない、と事実をもって断言できる。

 

科学者の風上にも置けない、とはこのことである。

 

 「二酸化炭素地球温暖化」を捏造している彼らは、確かにその信念は一貫している。彼らの主張で正しいことは、ひとつ。二酸化炭素は温暖化物質である、ということ、これだけだ。

 そのうえで、マウンダー極小期から現在までの全太陽放射照度の変化を0.1%とし、「太陽11年周期」は0.1度の変化しかもたらせない、と断定している。それを1610年までさかのぼっての黒点数や極氷、木の年輪に記された放射性同位体から、推定して結論付けた、という(その生データは提出されているのだろうか、そして査読を受けているのであろうか?)。

 

 これまで地球の気候変動に直接影響するのは、太陽からの光、熱であろうと考えられていた。そして、大気圏外の衛星測定で、短期的にはその変化は極めて小さい、ということが判ったことも事実である。また、「太陽11年周期」の光と熱(電磁波)がこのように僅かである、ということは地上生命体にとって、幸運であるといいうることがらではある。だが、IPCCは太陽からの、太陽の電磁波(光と熱)しか考えず、短期的に電磁波がわずかにしか変化しない、ということで地球の気候変動に太陽の影響は「無視しうる」と結論付けてしまっているのだ。明らかに、荷電粒子(宇宙線)の強度変化を無視していることが問題なのだ。

 宇宙線の強度変化は雲量の増減をもたらし、これが気候変化をもたらしているといこともわかっている。そして、今日、太陽活動の変化による宇宙線の変化と気候変動の変化が対応していることが判ってきた。同時に宇宙線と「雲による寒冷化」ということも科学的にわかってきている。

 

 IPCCに巣食う人々は古気候学、気象学、地球惑星科学、宇宙気象学、宇宙物理学の数々の気候変動に関する発見と理論を排斥し、気温変化は二酸化炭素だけによるものだ、という非科学的な考えに固執している。これは、21世紀現代における天動説を思わせる錯誤である。反対する者を排斥する態度は、中世の宗教裁判を彷彿させる。宇宙-自然をすべて分かっているかのようにするのは、スーパーコンピュータで自然を再現できる、というぬぼれである。コンピューター物神に侵されているだけである。「IPCCは自然を忘れてしまった」「科学ではない」という批判がなされているのも当然だといえる。

 事実、全米気象協会のテレビ気象予報士537人のアンケートでは、63%が気候変動の主因は自然現象」、27%が「地球温暖化論は詐欺の類」(2010.3.29)と回答している。

 私たちは、古気候学、気象学、地球惑星科学、宇宙気象学、宇宙物理学などの学問的発展に基づく地球の気温変動に関する主張、理論にたいして、これらを謙虚に受け止め、主体的な判断をしなければならない、と思う。

そして、それらのすべてが、気温変化は自然現象であることを示している。