『労使自治を軸にした労働法制に関する提言』の意味するもの

『労使自治を軸にした労働法制に関する提言』の意味するもの

 

 労使自治に関する労働法制改悪を目指した経団連の『提言』が1月16日公表された。

 『労使自治を軸にした労働法制に関する提言』がそれだ。

 これは、居丈高に、十分に資本の下僕と化した、組織率16%に過ぎない「連合」などを意に介せず、未組織の労働者をみすえ、資本の意のもとに〝こき使える〟「労働職場」を創り出すことを目的にしたものだ。

 

 かれらは、あけすけに言っている。

 「労働組合の組織率が低下していることもあり、自社 にとっての望ましい職場環境のあり方を個別企業の労使が話し合い決定するという、日本企業の強みともいえる労使自治を発揮できる場面が縮小している。 このため、労使自治を軸とした、今後求められる労働法制の方向性等を経団連として以下のとおり示す」、と。

 「労働者の意見集約や協議・団体交渉という観点からは、憲法で認められた団 体交渉や労働協約締結などの権限をもつ企業内労働組合が果たす役割は従来 にまして大きくなっている。」そのためには「労働組合法の理解を高めるためための周知啓発や教育を通じ、労働組合の組織化が図られることなどが期待される」などと「連合」労働貴族どもにハッパをかけつつも、無理であろうから、「労使協創協議制」を創設する、というのだ。(下線は筆者)

 

 言いたいことは明らかである。「連合」などはもう問題にならない。84%以上もの労働者の様々な「職種内容」「働き方」を「個別企業労使が議論し、判断・選択する」ことをおこなって生産性をあげてゆこう、というのである。このような〝手続き〟を通じて、個別の独占資本の意のもとに、労働者をこき使えるだけ、こき使おうというのだ。長時間労働と過労死を合法化する以外の何物でもない!! 

 文字通り独占資本が、すべての労働者を現代の産業報国会へと絡めとろうというのだ。

そのために労働法制を変えようというのである。

 

 こんなことは許してはならない!!

今こそ労働者は職場深部から団結をつくりだし、労働法制の改悪を阻止しよう!!

 

 しかし、この「労使自治」について、2015年以来、長時間労働をめぐって、論議がなされていたことを全く知らない御仁がいたことに、私は驚いた。「はじめて聞く言葉だ。「労使自治」だと!!」などと恥ずかしげもなくブログに書いているのだ。

 安倍内閣の「働き方改革」のもと「過労死」が幾度となくマスコミに取り上げられてきた。労災認定者の時間外労働が1カ月80時間以上、160時間を超すケースがあった。年間3000時間を超す場合もあったという。

 このような長時間労働は、36協定や賃金不払い残業などの「労働時間の決定を労使の自主的な取り組みに任されてきた結果」であり、労働時間の延長を「法的に規制」せず「労使自治」に任せてきたからなのである。

 この御仁は、この「労使自治」を覆すべく闘ってきた労働者階級の存在を知らない、ということを自己批判もなく語ったわけだ。

 そういえばこの人の仲間が、「日経連」「労問研報告」(「日経連」は、2002年にその歴史的使命を終えて、経団連と統合した)などという言葉を吐いたのは2年前のことだった。当のこの御仁は『連合白書』なんか「読まない」と突き返してきた過去もあった。

 

嗚呼!! 労働者階級の現状から、かくも浮き上がっているとは・・・!!

 

2024.2.10