トヨタの野望!!

 以下の文章は、2021年5月に執筆したものです。「トヨタアライアンスの崩壊」を読むのに参考にしてください。

 

 「トヨタ連合はグーグル以上の「世界制覇」を目指す」、という記事が「日経ビジネス」(2021/5/6)に掲載された。

 この記事は、今年3月にいすゞ自動車日野自動車トヨタ自動車の3社が資本提携を含む「協業」の記者会見をおこなった、ということを受けてのこと。この時の発表では「CASEの加速」と言われた。電気自動車、燃料電池車の普及のための協力体制が直接的な目的であろう。

(C:Connected/コネクティッド、車が外につながる。A:Autonomous/オートノマウス、自動化。S:Shared/シェアリング。E:Electric/エレトリック、電動化)

 しかし、この3社に、トヨタ自動車の子会社であるダイハツを含め、既にあるトヨタアライアンス(同盟、企業同士の提携)を形成しているマツダ、スバル、スズキも加えると、新たなトヨタアライアンスは日本の商用車の約8割を占めることになる。スケールメリットを考えると、これ自体大変なことではある。

 トラックメーカーは既にコネクティッドシステムを通じて独自に運行のための安全装置の作動検知、燃費、安全運転のデータ、位置情報サービスなどのデーターを取得している、という。このコネクティッドシステムを一元化し集約するシステムを構築すれば、国内の商用車の約8割の「ビックデータ」を、トヨタアライアンスは得ることができる。そしてそのビックデータは、車の安全運行管理データに尽きるものではない。

 運送業倉庫業などの物流合理化=経営合理化に活用することができるビックデータを持つということである。事実、コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーというCASA技術・サービス会社をも発足させている。トヨタは、トヨタアライアンスのもとにある、運行情報のビックデータと自動搬送システム化された倉庫、工場などを含んだ物流部門におけるAI合理化を企んでいるのであろう。自動車メーカーはそのための、AI化した電気自動車、燃料電池自動車を生産する。

 さらに、トヨタアライアンスのもとにある日本の自動車メーカー、すなわちトヨタ自動車日野自動車いすゞ自動車ダイハツマツダ、スバル、スズキの各社が持つ世界のユーザーを射程に入れてみると世界最大のビックデータを持つことが可能になるトヨタアライアンスができあがったと言える。

 

 このような、新たな物流合理化が実現される過程においては、CASE化された自動車への代替えが可能である資本力のない中小の運送会社、倉庫会社は倒産、整理統合に追いやられる。大手の輸送、倉庫会社の労働者もまた、首切り、配置転換されるであろう。多くの中小業者、労働者は路頭に放り出されるのだ。

 トヨタ自動車の生き残りのための資本提携による、首切りを許すな!!

 労働者は、物流合理化の名のもとになされる解雇・首切りを許さないために、団結してがんばろう!!

                                                     

        2021.05.09