シオニスト・ネタニヤフ政権を打倒し、パレスチナを平和の砦に!

シオニスト・ネタニヤフ政権を打倒し、パレスチナを平和の砦に!

 

「この世の地獄」

 

 イスラエル軍の容赦のない攻撃によるガザ北部の惨状に対し、国連の世界保健機関(WHO)は、「死の地帯」と表現した。さらに南部のラファなどへのイスラエル軍のジェノサイドに対し、国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は「この世の地獄に終止符を打たれるのを願う」、と発言した。ガザ地区は、文字通りの死と地獄の地帯である。

 シオニスト・ネタニヤフ政権によるこの残虐極まりない、悪逆非道なこのジェノサイドにより、わずか3ヶ月で2万7000人を超えるパレスチナ人民が殺され、5万人以上が負傷し、がれきの中に把握できないほどの行方不明者がいる。1万人以上の子供が殺された。けが人は、治療を受け入れる病院が破壊され、何日も食事にありつけず、水も飲めない。トイレもなく衛生状況は最悪で、感染病がまん延し始めている。まさにガザは「この世の地獄」である。毎日のように死人が出ているのだ。また、彼らは中央公文書館、各大学等の知的遺産を組織的に破壊してもいる。

 にもかかわらず、イスラエルエルサレム副市長は〝生ぬるい“ とばかりに、パレスチナ人は「人間でも動物でもありません。彼らは人間以下の存在であり、そのように扱われるべきです」。「ナチス」、「アリ」なのだから「拘束されたパレスチナ民間人を軍用ブルドーザーで生きたまま埋葬するよう」呼びかけた。

 このイスラエルの鬼畜のごとき蛮行による「この世の地獄」という惨状を前にして、キリスト教の司祭がガザの市民に「アザーンを朗誦する人がいなくなり、自分がもし生きていたら、ムスリムのために1日5回、アザーンを朗誦します」と語った。イエス・キリストの生誕の地として知られるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区ベツレヘム聖誕教会は、ガザ地区パレスチナ人支援のためクリスマス関連の全催事の中止を決定した。「イエスが今日生まれたならば、ガザの瓦礫の下で生まれたはず。ガザの子どもたちのひとりひとりの顔にイエスのお顔が映ります」、と司祭は祈った。

 ローマ教皇は、10月にも、サンピエトロ大聖堂の広場に集まった信者らを前に、「武器を置く可能性を放棄してはならない。我々は『停戦』と言おう。戦争は常に敗北だ」と、述べている。

 

 他方、イスラエル本国においては、一部の敬虔なユダヤ教徒たちが、ネタニヤフ政権によるパレスチナ人民に対するホロコーストを批判している。かれらは、非暴力の抗議行動を行い、イスラエル治安・警察権力による不当な暴行を受けている。徴兵を拒否し投獄された若者もいる。また、「平和を求めるユダヤの声」という団体は、イスラエル国防相の「ガザへの食料・電気・水・燃料を全て遮断する。我々は人間動物と戦っていることを念頭に行動する」との発言に対し、「私達はユダヤ人として人間を動物呼ばわりしたら何が起こるか知っている。誰にも同じことが起こってはならない」、と声明を発表した。アメリカではこの団体が、抗議デモを繰り返し、議会に雪崩れこんだり、『自由の女神』の前で座り込みなどを行っている。

 ユダヤ教徒のすべてが、シオニスト・ネタニヤフ政権のパレスチナ人民へのジェノサイドを肯定している訳ではないのだ。

そして、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどで万余の労働者・人民が「ガザに平和を!」「パレスチナに自由を!」などのスローガンを掲げデモを繰り返している。それだけでなく、イギリスの消防士が、兵器工場の労働者が、ストライキを行い、イスラエルパレスチナ人民へのジェノサイドに抗議している。

 イスラム教徒、ユダヤ教徒キリスト教徒たちが、イスラエルの極悪・非道な行いに対し批判し、抗議するだけでなく、無宗教の労働者、人民が立ち上がり、一日も早く戦争が終わることを願い、抗議行動を行っている。

 

 しかし、これらのことは、「反ユダヤ主義」の再来として考えるわけにはゆかない。

 

 確かに、シオニズムとその運動は1881年ロシア帝国での「ポグロム」に端を発しているが、第二次世界大戦のさなか、帝国主義国諸国の植民地争奪戦争における「民族主義」の高揚、とりわけドイツの「血と土」を理念とした「超国家主義」者、ナチスヒットラーによるユダヤ人のホロコーストが直接的な原因である、といえる。それ故に、そのような悲劇を繰り返えされたくない、とユダヤ人が、自らの「信仰と土地」を求め「ユダヤ人の郷土」たるパレスチナに入植し、アメリカ、ソ連の関与のもとに、イスラエルを建国したのだ。そのようなことを想起すると、パレスチナ問題は、帝国主義スターリン主義ソ連にその根拠があるといえる。

 そして、この帝国主義国家そのものが、プロレタリアートブルジョワジーの階級的対立を物質的基礎として「国民国家」「民族国家」として成立した「共同体の幻想的形態」(マルクス)の現実形態なのであることを忘れてはならない。

 

 帝国主義国家イスラエルシオニスト・ネタニヤフによる、パレスチナ(「国家」=社会)への侵略戦争、そのパレスチナ人民へのジェノサイド――これを経済的・政治的・軍事的に支援し、支えているアメリカ帝国主義と西欧帝国主義――これこそが21世紀現代の悲惨である。非道である。

 

アメリカ帝国主義のご都合主義・自己欺瞞

 

 「所変われば品変わる」ということわざが日本にはある。土地が変われば、風俗・習慣、言語などが変わることをいう。欧米のプラグマティスト、合理主義者にはその味わい深い「こころ」、心情のニュアンスが通じないであろう。

 パレスチナガザ地区へのシオニスト・ネタニヤフ政権が行っているジェノサイドは「人非人の鬼畜のごとき極悪非道な行為」である、と私は端的に言っている。人であるにもかかわらず、人の道から外れた、倫理のひとかけらもない畜生のごとき、鬼のごとき所業である、と。シオニスト・ネタニヤフが「アマネク」を援用し、エルサレム副市長が言った「パレスチナ人は人間ではない、・・・アリ(蟻?)だ。生き埋めにしてしまえ」というユダヤ教信奉者のいう「非人」とは大違いである。ある人、民族を「動物」と言いなすということと、人であるにもかかわらず「人でなし」ということとは、全く異なる。仏教文化の影響ではぐくんできたイデオロギー、精神風土とユダヤ教イデオロギーとの違いなのであろうか。

 

 米欧帝国主義国家権力者たちは、ようやくイスラエルパレスチナ人ジェノサイドを見て見ぬふりをしていたことが、国際的な労働者・人民から糾弾され国際社会から孤立していることを感じ始めた。それは、イスラエルが行っている、パレスチナ人へのジェノサイドが「人道」の敵、という本質が露呈したからだ。

 だが、彼らは相変わらず、イスラエルの「自衛権」を認め、ハマスを「テロリスト」と認めることを唯一の根拠にして、イスラエルを擁護し、経済的、軍事的に支援しているのである。イデオロギー的には、イスラエルによるパレスチナ人へのジェノサイドに反対している労働者・人民を「反ユダヤ主義」だ、と断罪してもいる。ハマスの奇襲攻撃――それ自体間違っており、自暴自棄的な攻撃――を「テロリストによる犯罪行為」であり、それに対する「自衛権」の行使である、と。ただ、行き過ぎは良くない、とイスラエルに言うだけである。

 しかし、その奇襲攻撃すら、被害をことさら大きくするために「イスラエル国軍が、同胞であるイスラエル人を銃殺し、街を破壊した」という報道すら流れているのである(FOXテレビなど)。ドイツが初めてNATO軍に参加し軍事攻撃した「ユーゴ空爆」の際の謀略的手口を彷彿させるではないか。さらに、かれらは、ハマスイスラエルへの奇襲攻撃の物質的根拠、歴史的・論理的根拠を否定するのである。これまでの一切のブルジョア法、倫理・道徳を逸脱した外道のごとき蛮行が一切なかったことにする、「歴史の偽造」を行い始めている。

 

 イギリスの植民地支配からインドを開放したガンジーは「テロリスト」だったのか?(彼は、生前ユダヤ人のパレスチナへの入植・イスラエル建国を批判していた。)

 独立宣言において「人民のための・・・」と謳ったアメリカで、「ネイティブアメリカン」とともに、その「人民」に入っていない黒人(奴隷)の人種差別から黒人の解放を目指したキング牧師は、テロリストなのか?

 アパルトヘイトから南アフリカ人民を開放した、ノーベル平和賞を受賞したマンデルは2008年までアメリカ帝国主義権力者によって「テロリスト」という烙印を押されていたのだ。(南アフリカ共和国は、現在、パレスチナで停戦するまでの間、イスラエル大使館から大使を召還する処置をとっている。さらにイスラエルをジェノサイド容疑で国際法廷に提訴している。)

 最近では、ウクライナの地において人権蹂躙を続けた「アゾフ」――ネオナチの胎動に危機感を持った欧州権力者が「テロ組織」と規定したこのアゾフはロシアの軍事侵略攻撃に彼らが反撃するや、手のひらを返したように、英雄扱いされた。これこそ、暴力行使の如何を問わず、アメリカをはじめとする帝国主義権力者のご都合主義と自己欺瞞を示して余りある。そして、自分たちがすべて正しいという自己絶対化を誇示しているではないか。

 

孤立するアメリカとイスラエル

 

 グテーレス国連事務総長が、国連憲章第99条に基づき、安保理に停戦を求めるよう要請し、11月8日に国連安保理の緊急会合が開催された。中・ロをはじめ100国を超す国々の「即時停戦」を求める共同提案をアメリカが拒否権を行使し、イギリスが棄権した。

 国連安保理は、12月22日、パレスチナガザ地区人道支援を促進するために「即時に敵対行為の中止」(=即時停戦)の文言が抜けた「持続的な敵対行為の停止につながる条件の整備」を求める決議を採択した。理事国15ヵ国のうち日本を含む13ヵ国が賛成し、米国とロシアは棄権した。(ロシアは米国への配慮で内容を後退させた決議は「安保理にとって悲劇」であると批判し、「敵対行為の停止」の文言を復活させる修正案を提出した。これには、10ヵ国の賛成を得たが否決された。

 さらに、12月29日には南アフリカ政府が「ガザでのイスラエルの軍事活動がジェノサイドに当たる」として国際司法裁判所に訴状を提出した。

 こうして、アメリカ、(イギリス)はイスラエルとともに、「人道」の敵という姿を世界に露わにしたのである。

 他方において、ロシアプーチンは、エジプトとともに、BRCSに加入することを決定している、サウジアラビアアラブ首長国連邦、さらにイランを歴訪し中東への影響力を強める策動をおこなっている。

 すでに私がブログ(11・23「シオニスト・ネタニヤフ政権を打倒し、イスラエルパレスチナを平和の砦に作り替えよう!!」)に載せているように、ノルウエー、ベルギー、スペイン、イタリアなどの欧州の国々、欧州議会でのアイルランド議員などのイスラエルへの批判、パレスチナ国家承認の決議などや、南アフリカインドネシア、中国並びに、アラブ・イスラム諸国の対応などでも明らかなように、すでにイスラエルは国際的に孤立しているのである。アメリカは、そのことを十分に分かっていながら、拒否権を行使し、イスラエルパレスチナ侵略とそのためのパレスチナ人民へのジェノサイドを容認し、支えてゆくことを宣言したのである。アメリカの「自由と人権」「民主主義」なる「普遍的価値」なるものの、その化けの皮が剝がされたのだ。いかなる意味においてもアメリカの権威は失墜した。アメリカもまた、イスラエルとともに孤立化しているのだ。

 しかし、イスラエルは、相変わらず「正義」の戦争とヘリクツを並べ、パレスチナ人民へのジェノサイドを止めようとはしない。そればかりか「米国製」の米軍が供与した「非人道兵器」白燐弾レバノンヒズボラの拠点めがけて打ち放った。

 このようなイスラエルとともに進むことはまずいと感じ始めたアメリカ、ドイツの権力者たちは、今日ようやくにして、政治的に不味い、とイスラエルに対し「戦争法順守」を謳い始めた。

 米大統領・バイデンは12月12日、イスラエル・ネタニヤフのパレスチナ人ジェノサイドに対し「無差別爆撃によって世界からの支持を失い始めている」と吐露した。また、バイデンは、ネタニヤフ政権を「イスラエル史上、最も保守的な政権」だと指摘。ネタニヤフについて「よい友人だが、彼の政権とともに変わらなければならないと思う」、と極右勢力の内閣を批判した。さらには、パレスチナの地における「2国家解決」というブルジョア的解決の破綻を突きつけられた。ネタニヤフ政権が「2国家解決に近づくようなことは全く望んでいない」ということを、バイデンはようやくにして自覚したのだ。

 明らかに、アメリカなどの唱える、パレスチナにおいて2国家が共存するという解決形態、———もはや死に体と化した解決法―は、「世界のユダヤ人の民族的郷土」を建国するというシオニストによって、現実的に破綻をつきつけられているのだ。

 同時に、シオニスト・ネタニヤフによる、今回のガザへのジェノサイド攻撃は、2017年に「綱領を修正」し(第3次中東戦争前の)1964年6月4日までの休戦ラインを国境とする」、というハマスの「2国間共存」を目指すという展望をも打ち砕いたのだ。

 今、問われているのは、イスラエルの植民地的支配からのパレスチナ人民の解放である。

 

ハマスと「2国共存」

 

 10月7日、ハマスの絶望的なイスラエル襲撃以降のイスラエルのガザへの軍事攻撃、パレスチナ人民へのジェノサイドが開始されてから、すでに3ヶ月を経過している。しかし、ハマスの指導者シンワルやカッサム旅団のデイフ司令官たち最高幹部は、いまだに発見されてはいない。いまだ破壊されていないトンネルに潜んでいるのか、人民の中に潜んでいるのか、国外に亡命しているのかはわからない。

 ネタニヤフは、イスラエルの権力を掌握してから16年の間、パレスチナのいわゆる「分割統治」を行ってきた。「ガザを統治できるほど強く、イスラエルに制御されるほど弱い」、というようにハマスを生かした上で「ガザのハマス」「ヨルダン川西岸のパレスチナ自治政府」の分割統治を行ってきた。

 2006年に行われたパレスチナ自治政府の議会選挙は、ひとつの結節点といえる。ハマスは、事実上パレスチナ自治政府を承認し、選挙に圧勝してパレスチナ自治政府を掌握した。そしてハマスが、パレスチナ人の代表として、パレスチナ独立の交渉をする権利を獲得した。当然にもイスラエルアメリカそして日本はこの選挙結果を認めなかったばかりか、2007年には、ファハタがアメリカの支援を得てガザ地区でクーデタを起こした。ハマスはこれを阻止したが、これによってガザがハマスを、ヨルダン川西岸をファハタが支配するという構図が出来上がった。

 このようにして、イスラエルは「ガザのハマス」「ヨルダン川西岸のパレスチナ自治政府」という単なる地理的ではない、政治的な分断として支配し、パレスチナ独立国家成立に向けた交渉を抑え込むことを画策してきた。以降、世界的な「対テロ戦争」という名分のもとにガザは、「テロ組織」のハマスが支配している場所としてイスラエルにより、定期的な軍事攻撃が行われ、あたかも囚人を銃殺するがごとくパレスチナの人民が殺害されてきた。まさにガザは「天井のない監獄」と化し、ヨルダン川西岸では、イスラエル人がどんどんと浸食して、占領地を拡大してきた。聖都エルサレムを含むヨルダン川西岸は、イスラエルが統治するというように。

 このようにして、パレスチナ全土を掌握するためのロードマップに基づいて突き進んできたネタニヤフは、パレスチナ人民をエジプトへの大量の難民追放策としてアラブ・イスラム諸国に受け入れさせようと画策してきたのである。しかし、サウジアラビアイスラエルの交渉を前にし、危機感に駆られたハマスの奇襲攻撃(10月7日)によって、この「分割統治」の破綻を突きつけられたのである。

 それゆえ、ネタニヤフはパレスチナ人民のジェノサイドへとその政策を転換した、とわたしは推論する。

 

 もともと、ネタニヤフは国連演説などにおいて、パレスチナ自治政府のないパレスチナの地図を示し「2国共存」という「合意」を否定している。

 

 パレスチナ問題に造詣が深いジャーナリストである川上泰徳は、ハマスは2017年に綱領を修正した、と言っている。「第三次中東戦争前の1964年6月4日までの休戦ラインを国境とする」として、「2国共存」を認めている、という。確かに、「イスラエルを武力で打倒」するとして1993年の「オスロ合意」を反故にした当時からすれば、ハマスは現実的あるいは妥協的ともいえる選択をした。イスラエル国家そのものを否定するものから、パレスチナ国家とイスラエル国家の共存を前提として、国境を1993年時点ではなく、1964年6月4日前の休戦ラインとする、というように。しかし、「イスラエルに制御されるほど弱い」という力関係は何ら変わっていない。いくらカタールからのガザへの資金援助の一部をかすめ取って、武力を蓄えても、圧倒的な軍事力の差は埋められることはなかった。

 

 1947年にアメリカとソ連が賛成し、国連において「パレスチナ分割決議」がなされ、翌年1948年にイスラエルが建国した。以降イスラエルは、その占領地を拡大してきた。このイスラエル独立宣言にはパレスチナ共産党社会民主主義者の名前も連なっている、という(早尾貴紀)。私たちは、このことを決して忘れてはならない。

 

 これらのイスラエル対する、ハマスが行った復讐と反撃は、唯一のパレスチナ人民をイスラエルの占領から解放する手段であったのだ。

 1948年「ナクバ(大厄災)」と呼ばれるパレスチナ「国家=」社会が破壊される、ということがイスラエルによって引き起こされた。イスラエルによって、勝手にイスラエル領と決められた531か所もの地域から、パレスチナ人民およそ75万人――パレスチナ人の80~90%――もが追放され、難民となり、ガザ地区へ封じ込められた。ハマスは、1987年にシオニズムへの抵抗組織としてムスリム同胞団の最高指導者アフマド・ヤースィーンにより結成された。米・西欧権力者によって、「テロ組織」とレッテルを張られてはいるが、ロシア・中国他BRCS諸国により2018年の国連総会では、「テロ組織としての非難決議」は否決された。その前身は、1948年の第一次中東戦争にまでさかのぼる。ハマスは単なる政治組織などではなく、その活動は文化・教育、イスラム教価値観の普及・医療・社会奉仕、等多岐にわたる。したがって、パレスチナ人民のよりどころとして生き続けてきた。私なりに、このイスラエルの入植・植民地的支配を追体験してハマスが、不当にも土地を奪われ、家族を虐殺されたパレスチナ人民の悲しみ、怨念と怒りを体現していることがよく分かった。だからそういえるのだ。

 10月7日のイスラエル対する、マルクス主義における国家=革命論とは無縁なイスラム教徒の組織たるハマスが行った復讐と反撃は、パレスチナ人民をイスラエルの占領から解放する唯一の抵抗であったのだ。だからこそ我々はその限界を超えなければならないのだ。

 

ハマスの解放闘争の問題性

 

 アメリカ、イギリスの支持と支援、ソ連スターリンの裏切りによって建国したイスラエル帝国主義シオニズムイデオロギーと一体の人種主義的差別を特色とした民族主義的国家。その国家が行う「入植者植民地主義(セトラー・コロニアル)国家」とでもいえる諸施策が――パレスチナ人民へのジェノサイドを通じた「民族浄化」のための戦争が――今行われているのだ。

 そう考えると、イスラムの教えに忠実にのっとって、文化・教育、イスラム教価値観の普及・医療・社会奉仕、などの活動を行い、シオニズムの人種主義から、ブルジョア国家たる「民族主義的」国家から、自らとパレスチナ人民を解放することの限界を痛感する。

 パレスチナ全土をイスラエル国とし、他のあらゆる民族、宗教を排除した「ユダヤの郷土」の建設に邁進し、次々と占領地を拡大してきたのがイスラエルである。しかも、イスラエル国家のジェノサイドを見て見ぬふりをしているイギリス、フランス、ドイツの帝国主義国家権力者の恥ずべき行為、公然と政治的、経済的、軍事的に支えているアメリカ帝国主義国家権力者の人非人どもによって、イスラエル国家によるパレスチナ人民へのジェノサイドが可能になっていることを考えると、なおさらそうだ。

 

「この世の地獄」と化したガザ、「崩壊寸前にある」(サラ・ロイ)ガザ、このあらゆる意味で絶望状況にあるガザで、ハマスは、パレスチナ人民のよりどころとして生き続けるであろう。だからこそ、ハマスは一日でも早くイスラム教の宗教的呪縛から自らを解き放ち、その過程を対象化しつつ、パレスチナ人民を再組織化しなければならない。

 

 今、世界にはパレスチナ人民と連帯し、イスラエル国家のジェノサイドを糾弾する、労働者・人民が決起している。ストライキを行っているイギリスの労働者がいる。イスラエルにもネタニヤフの帝国主義による搾取、収奪されている労働者がいる。日常的に搾取され、どん底に突き落とされている国境を持たない労働者階級は、パレスチナ人の絶望状況を受けとめ連帯しようとしているのだ。

 世界の労働者・人民は団結し、シオニスト・ネタニヤフ政権の打倒を目指し、アメリカのイスラエルへの「政治的、経済的、軍事的支援」を許さない闘いを創りだそう。

 私たちは、国家的分断と人種主義的、民族主義的・宗教的な対立、それらの政治的=ブルジョワ的解決の限界を自覚し、これをのりこえてゆく共産主義による「人間の人間的解放」を目指す「母体」を創りだしてゆかねばならない。

 

シオニスト・ネタニヤフ政権を打倒し、パレスチナに平和の砦を創り出そう!

 

私たちは、労働者階級の、帝国主義国家そのものの打倒を目指す闘いを創造しなければならない。

 

2024.01.06