訣別宣言 その2       藤川一久

2 組織の最大の危機——組織問題

 今回の「探究派」の最大の危機は、NO.1およびNO.2がともに詐欺の餌食となった、ということだ。それを見抜けなった私たちの故に一時的ではあれ、組織丸ごと詐欺にあったのである。 Aが世間で呼称されている「バークレイズ銀行の名を利用した、国際遺産相続詐欺」集団のフィシング詐欺に引っかかった。このAが22億円の遺産相続金を得るために必要な金を融資してくれと椿原に願い出た。椿原は「信憑性がある」と判断し、融資することを決めた。これが、ことの発端である。 そして椿原は〈「金がなければできないことも、あればできることもある」と金に目がくらみ、「金銭的制約があって解決できないでいる問題」のためにAから「1億円」「いやそれ以上をカンパさせる」〉と妄想しそれを組織会議に提起した。前衛党の組織原則を投げ捨てて。さらに椿原は、「ただ金が欲しいだけじゃないか!」という同志谷風の怒りを込めた批判に対し「そうだよ、それのどこが悪い」と居直った。この居直りの中身こそは、マルクス主義・なかんずくマルクス経済学の何たるか、ということの無知をさらけ出したものではないか。いやいや労働力商品たるの自覚、賃金奴隷からの自己解放とは無縁であることを物語っているではないか!! 椿原はそれほど思想が崩壊しているのだ。

 松代は「わからないことがあるが、これによって、〈引き出せるようになるかどうかで白か黒かを判断する〉」としていた。彼は、「すでに詐欺集団の術策にのってしまっていた」(藤川)のである。‶オレオレ詐欺にあって銀行に振り込みをしようとしている人を前にして、詐欺かどうかを確かめるために、一度振り込んで相手の次の出方を見よう〟という能天気な判断をしたのである。

 さらに、前述の椿原が提起した組織会議で、相続自体が夢物語だと感じた同志谷風は「相続に関する書類はないのですか」と質問した。椿原は「そんなものあるわけがない。電子決済の時代だ」(得意のディベート方式による切り返し)と答え、松代は「そうだね」と相槌を打ったのである。 確かに同志谷風は詐欺の可能性があるから、質問したわけではない。椿原は、当時唯一であろうところのAが正当な相続人であることを示す「宣誓供述書」の存在を否定するような発言をし、松代が同意したのだ。しかし、なんと! この「宣誓供述書」こそは、詐欺グループがでっち上げた偽造文書であったのである。私たち、同志谷風と藤川において、一目でわかるこの偽造された「宣誓供述書」を椿原の「あー言えばこういう」式のディベートとそれに相槌を打った松代によって隠蔽されてしまった。二人は、出発点における重要な過ちに関していまだに口をふさいだままである。さらに、2021年12月の段階で、Aがフィッシングされていた事実をも半年以上隠ぺいしていたのである。

 その後の反省論議で、椿原は同志の批判に「耳をふさぎ、壁をつくり」、反省のための会議への参加をも拒絶したのである。さらに、椿原はようやく提出した「反省文」において、「5・11について、記憶なし」と恥ずかしげもなく居直り、同志の誠実な且つ懸命な批判を蹴飛ばした。驚くべきは、松代はこのような椿原を「問題意識が違えば覚えていないこともある」と擁護したのである。いずれにせよ椿原は、みずからの拝金主義、それによる判断の狂い、さらには自己保身と居直りのゆえに、共産主義者として死んだのである。 「探究派」は、この時点でもはや組織の体をなしていない。やり直さなければならなったのである。解体的再創造をやらねばならなかったのである。